研究概要 |
1 藻類と細菌類の共存試料に対するPCR-DGGE手法の実験的検討 多糖類を選択的に除去できると報告されているCTAB法とミクロホモジナイザー処理プロセスを組み合わせた手法と,市販の核酸抽出キット(FastDNA Kit)とビーズ破砕機とを組み合わせた二通りの手法を検討した。津久井湖水試料,実験室で培養した藻類・細菌類共存試料のどちらにおいても,良好に核酸抽出ができることを確認した。 2循環曝気を導入したダム湖におけるアオコ発生と共存細菌群集の解析 循環曝気を導入している津久井湖表層水における真正細菌(アオコも含まれる)群集構造の季節的変動をPCR-DGGE手法を用いて解析し,以下の結果を得た。 1)顕微鏡による藍藻類の計数値とPCR-DGGEによるバンド強度とを比較すると,Anabaenaでは比較的よく適合したが,Microcystisではずれが見られた。 2)バンド強度を加味したPCR-DGGEバンドパターンを多次元尺度構成法により解析し,群集構造変動が図示できた。これにより変動の円周軌道と,大雨直後のアオコ発生に伴う一時的な軌道からの逸脱が認められた。 3)藍藻類のバンドを除いて上記の多次元尺度構成法解析を行うことにより,軌道からの逸脱がなくなり,このことから細菌群集構造がアオコの急激な発生の影響を大きくは受けていないことが示唆された。 4)細菌群集構造の差異は,採水地点による差異よりも,採水月による差異の方が大きかった。 5)放線菌と推定されたバンド強度と,藍藻類と推定されたバンド強度との問には,拮抗関係を示すような挙動が認められた。
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