研究課題/領域番号 |
13680639
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
原田 洋 横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (50107372)
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研究分担者 |
阿部 聖哉 電力中央研究所, 研究員 (80311273)
目黒 伸一 国際生態学センター, 主任研究員 (20261141)
持田 幸良 横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (60133047)
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キーワード | 環境保全林 / 機能と動態 / 自然性の回復 / リターフォール / リターの分解 / 樹幹流 / 煤塵量 / 土壌動物 |
研究概要 |
環境保全林の機能と構造を研究するため川崎市東扇島と熱海市の環境保全林を対象とした。リターフォール量とその季節的変動を明らかにすると同時に林床に堆積するリターの分解率を測定し、土壌動物の現存量との関係から、環境保全林の管理手法の基礎を確立するとともに、土壌動物相から環境保全林の自然性の回復の度合いを判定すること、樹木による煤塵の捕集量や樹種による付着量の差、ならびにCO2固定量の推定など環境保全林の機能と動態を総合的に把握することを目的としている。 リターフォールの月別変化は東扇島では5月に落下量が急増し、夏期は少し減少するが、熱海では初夏にピークが現われている。この落下パターンの違いは温度に伴うシュートの伸長期間の相違によるものである。 リター堆積量と落葉量から平均分解率を算出すると、東扇島では64%、熱海では84%であった。これは落葉を摂食する土壌動物の現存量の差によるものであろう。 CO2固定量は、m^2あたり熱海では31.3kg(平坦地)と58.7kg(マウンド上)で、1年間にそれぞれ9.1kg,8.4kg増加した。東扇島では23.4kgと25.1kgとなり、1.1〜1.2kg増加した。若齢林の熱海で高いのは立木密度の差によるもので、淘汰されるにしたがい一定量になるものと考えられる。 樹幹流中煤塵量は熱海では9本の合計値で2002年が59.3g、2003年が47.4g、東扇島では6本の合計値で2002年が166.3g、2003年が107.6gとなった。樹木サイズは東扇島のほうが大きいが、煤塵量も多くなっている。 土壌動物群数は熱海のほうが多く、土壌動物による自然の豊かさ評価においても高い値を示した。これは若齢林であっても周辺に土壌動物の供給源となる自然環境が存在しているからである。また、ササラダニ類による自然性の評価においても76点と119点と社寺林や明治神宮林なみの高い評価となった。
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