研究概要 |
本研究は、水に可溶なトレーサーとして炭酸ガスを用い、土壌液相から気相への汚濁物質回収機構を解析する基礎的研究である。本年度は装置を作成し、その破過曲線を測定した。装置としては、内径30cm、深さ1m 程度の装置を作成したが、まずは、分析系の調整のために、小型カラムを用いて、トレーサーの応答について検討した。 大型の装置を動かす前にまずは,内径5cm,長さ20cm程度の大きさのカラムを作成し,砂質土壌を充填し,トレーサー実験を行っった。流量制御のためにマスフローコントローラーを,長時間サンプリングのために自動ガスサンプラー(自動コックとタイマーで自作する)を設置した。このカラムに種々のトレーサーを導入し,その出口での濃度をGCで測定した。GCデータをADコンバーターを介してコンピューターに採取した。 この研究においては,濃度低下時におけるGCの感度が問題となるが,試験の結果では,おおむね,目的とする濃度までの測定が可能であることが明らかとなった。また, partitioning tracerに先立って, inert tracerとしてのヘリウム,adsorption tracerとしてのpentaneを導入,土壌層内の気相容積および界面積を測定する方法について検討し,気相容積については充分な精度で測定でること,界面積については,精確度は不充分なものの,相対的な大きさが比較できるまでに至った。また,partitioning tracerとしての炭酸ガスを流通させ,ガス吸収による時間遅れが予想どおりに生ずることを確認した。今後,大型の装置でトレーサー回収実験を行う予定である。
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