研究概要 |
深刻化する地球環境問題に対処し,地域間でバランスの取れた循環型経済システムを形成していくためには,地域経済構造の変化と省資源・省エネルギー化の関係を長期的に分析するとともに,資源・エネルギー需給面での地域間の相互依存関係を把握し,モデル化しておくことが必要である。 本研究では,日本の国全体,地域別,さらには地域間で,財貨及びサービスの流れを総合的かつ詳細に把握できる地域間産業連関表及び地域産業連関表を利用し,高度経済成長期以後の地域経済構造の変化と省資源・省エネルギー化の関連,並びに資源・エネルギー需給から見た地域間の相互依存関係を分析し,今後の省資源・省エネルギーの促進や循環型経済システムの構築に向けた地域課題を明らかにすることを目的とした。 平成13年度の研究では,まず,域経済構造の長期的変動を明らかにするために,研究代表者が既往研究の中で提案した地域分析手法及び地域連関構造の分析手法を用いて,各地域における産業構造と経済循環の特徴を把握するとともに,地域産業構造の変動と経済成長の関係,及び地域経済の相互依存関係を検討した。 次に,わが国の各地域における省資源・省エネルギーと資源・エネルギー需給の動向を把握するために,研究代表者と分担者が既往研究の中で提案した二つの分析手法を地域産業連関表に適用した。第一は,資源・エネルギー供給産業に対する依存度め分析であり,地域別に資源・エネルギー供給産業に対する感応度の経年的変動を分析し,各地域の投入構造面での省資源・省エネルギー動向を検討した。第二は,省資源・省エネルギー化の要因分析であり,各地域における資源・エネルギー消費の変動要因を投入構造要因と最終需要構造要因に分解し,生産技術と需要構造の二つの側面から省資源・省エネルギー動向を分析した。
|