研究概要 |
環境負荷の小さい資源循環型の地域経済構造を形成していく際には,地域における資源・エネルギーの需給関係や省資源・省エネルギーの進展状況を定量的に把握する必要がある。そして,このような目的のためには,国全体あるいは地域全体で財貨及びサービスの流れを総合的に把握できる産業連関表の利用が有効である。特に,わが国で整備が進んでいる地域間産業連関表を使用すれば,産業間・地域間の資源・エネルギー需給構造や省資源・省エネルギーの進展を統一した分析フレームの下で,時系列的に把握することが可能となる。 本研究では,経済産業省が全国9地域を対象として公表している地域間産業連関表のうち,1975年〜1995年の20年間・5時点のデータを用いて,地域経済構造の変動と資源・エネルギー消費との関連を分析した。この際,資源・エネルギーの需給構造を定式化するために,わが国における石油・石炭製品,鉱業製品,'電力,ガス等のエネルギー・フローに基づいて,鉱業製品及び石油・石炭製品の2部門を資源・エネルギー供給部門と仮定し,各産業部門や各最終需要項目が資源・エネルギー供給部門の生産誘発に及ぼす影響から,地域の省資源・省エネルギー動向を検討した。 既往研究で適用されてきた影響力係数,感応度係数,資源・エネルギー誘発係数,DPG(Deviation from Proportional Growth)分析等を用いた検討結果から,わが国の各地域では,分析期間を通じて省資源・省エネルギー化が進んでおり,特に投入構造に起因する技術構造の変化,及び移出構造の変化による影響が大きいことが明らかになった。 また,本研究の成果を地球温暖化分析に応用するため,国立環境研究所が作成している二酸化炭素排出原単位を利用して,全国9地域間で,資源・エネルギー消費構造と二酸化炭素排出量を推計できるプロトタイプの地域間産業連関モデルを開発した。
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