研究概要 |
Bacillus sp由来の市販酵素剤を使用し、基質濃度125g/l,酵素濃度6.25g/l, pH8.0,温度60℃の条件で、実容積1lの反応槽を用いて酵素分解を行った。その結果、馬骨や魚骨では75-80%、豚皮や魚鱗では90-95%と高い分解率が得られた。得られた酵素分解物の平均重合度をTNBS法により測定した結果、馬骨、魚骨、豚皮、魚鱗のすべてが約3であったので、酵素的加水分解物はオリゴペプチドの混合物であると思われた。 得られた酵素的加水分解物のアミノ酸組成を分析した結果、魚骨のグリシン含量がやや低かったが、豚皮および魚鱗の酵素分解物ともにグリシンが約33%であった。また、ヒドロキシプロリンは7.6-7.9%、プロリンが11.4-12.6%含まれており、市販のコラーゲンと同様の組成を有していることが確認できた。 酵素的加水分解物のin vitroの系における抗ラジカル活性および血圧上昇抑制作用を測定した結果、酵素分解物はIPOX_<50>(抗ラジカル活性の指標),IC_<50>(血圧上昇抑制作用の指標)ともに1mg/ml以下であり、抗ラジカル活性、血圧上昇抑制作用の両方ともに明らかな生理活性が認められた。Kim S.K.ら^<1)>は、牛皮ゼラチンを種々の酵素で加水分解して得られた分解物の中で最も活性が高かったもののIC_<50>は0.689mg/mlと報告している。測定条件が若干異なるので得られたIC_<50>値を直接比較することはできないが、製造した酵素分解物の血圧上昇抑制作用は、少なくとも彼等が報告したペプチドと同等の活性を有しているものと考えられた。オリゴペプチドであれば体への吸収性も良いと考えられることから、酵素分解物は食品素材等への利用が期待できた。今後は得られたペプチドのアミノ酸配列まで明らかにし、試作・評価を行う。 1)Kim S.K.,et al. J Agric Food Chem,2001;49:2992-2997
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