研究概要 |
【混合焼結基礎実験と基礎物性・構造解析】 電気炉(マッフル炉)および小型回転炉を用いて、500〜1200℃の焼成温度範囲において焼結条件と焼結体の組成・構造,諸物性との関係を評価し、以下のことが明らかになった。 ・広範囲なアルミ灰とPS灰の配合比において約800℃から焼結反応が進行する。ガラス添加により破壊強度は増加するが、気孔率は低下する。アルミ灰の配合比が大きい程、破壊強度が高く気孔率が低くなる傾向がある。PS灰の種類により気孔率は変動する(約20〜40%)。 ・900,1000℃焼成時の排ガス分析により、環境基準を超えるガス成分は認められない(NO_x,SO_x,HCl他)。排塵処理は通常のバグフィルターで十分である。 ・多孔質の焼結体の化学構造は、斜長石(NaAlSi_3O_8-CaAl_2Si_2O_8)、酸化鉄(Fe_2O_3)、シリカ(SiO_2)、アルミナ(Al_2O_3)などから成る。 【吸着基礎実験と油分析】 以上の混合焼結体を粉砕して廃エンジン油との吸着性についてカラムクロマト法を用いて評価した結果、以下のことが分かった。 ・現行の活性白土と比較して混合焼結体の廃油浄化性能は約1/3程度で、炭素成分の脱色効果が大きい。ガラス添加により吸着性・廃油浄化性能は低下する。 ・原料廃棄物の中では、ある種のPS灰が活性白土とほぼ同等の処理能力(廃油1ml/1g)を有するが、PS灰の乾燥が吸着力向上に寄与している。 ・処理前後油のGPC、IR分析により、廃油の基油分子量分布において高分子量側に生成された酸化重合・縮合物が吸着除去されることが分かる。 ・今後の課題として、PS灰の成分・品質調査や廃油処理前後の添加剤分析などが必要である
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