研究概要 |
核酸分解酵素耐性があり、かつ、糖骨格がC3'-endo型に固定化されたアミド結合型RNA誘導体により、遺伝子発現制御及び遺伝子の構造検索が可能な新規な機能性核酸分子を創出することを目的として、今年度はアミド結合型RNAの細胞膜透過性、及ぴ、ピレン修飾アミド結合型RNAの合成について検討した。 1.アミド結合型RNAの蛍光修飾と、細胞膜透過性に関する検討 アミド結合型RNAはバックボーン構造が無電荷であるため、細胞膜との電荷反発がなく、細胞膜を透過しやすい性質を持つと考えられる。そこで、アミド結合型RNA6量体(U^*U^*U^*U^*U^*U,^*:アミド結合)の5'末端アミノ基をフルオレセインで標識した蛍光標識アミド結合型RNA(1)を合成した。次に、HeLa細胞培養系に1を2μM添加して6時間培養後、蛍光顕微鏡観察を行った結果、細胞質に薄く広がりを持つ蛍光発光が観察された。これより、アミド結合型RNAは、細胞膜を透過して細胞質内に広く分布する性質を持つことが示唆された。 2.ピレン修飾アミド結合型RNAの合成に関する検討 2'-ピレン修飾ウリジン(Upy)を含むオリゴヌクレオチドはRNAと結合して蛍光増感するため、RNA検出プローブとなり得る。しかし、その蛍光増感の程度はUpy近傍の塩基配列により大きく影響される。そこで、Upyの糖骨格をC3'-endo型に固定化してピレンの立体配座を規制することにより、蛍光増感の塩基配列依存性を解消する方法について検討することにした。そこで、3'-水酸基をカルボキシメチル基に変換したUpy誘導体をウリジンから10工程で合成する方法を構築した。このUpy誘導体の糖骨格は、C3'-endo型に固定化されていることがNMR分析により判明した。今後、アミド結合で連結したUpyC二量体を合成し、オリゴヌクレオチドへの導入及びその蛍光特性について検討する。
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