核酸分解酵素に耐性があり、かつ、C3´-endo型に固定化した糖構造を持つアミド結合型RNA誘導体により、遺伝子発現制御や遺伝子の構造検索が可能な新規機能性核酸分子を創出することを目的として、アミド結合型RNAの固相合成、RNA結合親和性、細胞膜透過性、及び、ピレン修飾アミド結合型RNAの合成を検討した。 1.縮合剤PyAOPを用いたアミド結合型RNAの固相合成を検討した結果、縮合収率は74〜92%となり、PyBOPよりも10%程度収率が向上した。 2.分光学的検討から、アミド結合型RNAは、C3´-endo型に固定化した糖構造に加え、バックボーン構造が天然型RNAよりも剛直であることが示唆された。これらの性質により、10量体のRNA/アミド結合型RNAキメラオリゴマーが十分なRNA結合能を持つためには、アミド結合型RNA領域の鎖長は4量体までに限定する必要があることがわかった。 3.フルオレセイン標識したアミド結合型RNA6量体を用いて細胞膜透過性を検討した結果、HeLa細胞の細胞膜を透過して細胞質内に広く分布する性質を持つことが示唆された。 4.2´-水酸基にピレンを持ち、かつ3´-水酸基をカルボキシメチル基に変換したピレン修飾ウリジン誘導体をウリジンから10工程で合成する方法を構築した。この誘導体の糖構造は、C3´-endo型に固定化されていることがNMR分析により判明した。 以上より、アミド結合型RNAの構造的性質とそのRNA結合親和性への影響を明らかにして、さらに細胞膜透過性があることを見いだした。また、糖構造固定化型ピレン修飾核酸蛍光プローブの構築に必要な新規ピレン修飾ウリジンを合成して、その固定化された糖構造のコンホメーションを明らかにした。
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