研究概要 |
ポリエステル骨格の生分解性に着目しデンドリマー型ケージド化合物への利用を主眼に置いた新規なポリエステルデンドリマーの設計、および新しい合成法に基づく合成を行なった。また、デンドリマーの諸性質に大きく影響するコンフォメーションについて、NMRと分子モデリングに基づく評価を行なった。 ビルディングブロックの設計には、新規な分岐構造の形成法として初めて置換アセトフェノン、アセト酢酸エステルなどをマイケルドナー、アクリル酸エステルをアクセプターとして用いたマイケル型付加反応を利用した。マイケルドナー2分子をアクセプター1分子に付加させるための、保護基とその脱保護条件、塩基の選択などについての最適合成条件を確立した。つぎにビルディングブロックから「水素化分解→DCC-DPTSカップリング」という世代成長行程によりデンドロンG2-G4を合成し、これを1,3,5-ベンゼントリカルボニルトリクロライドと反応させることにより、新規なm-配向ポリエステルデンドリマーG1、G2を合成した。構造はESI-MSおよび元素分析により確認した。さらにその立体構造を^1Hおよび^<13>CNMR、分子モデリングにより評価した。また、アセト酢酸エステルを原料とする脂肪族ポリエステルデンドリマーも同様な方法で合成した。なかでも、アセト酢酸ベンジルエステルとアクリル酸t-ブチルエステルを用いたビルディングブロックにはほぼ定量的に進行する3段階の合成法を確立し、デンドリマの合成とあわせて工業化にむけて特許出願中である。
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