研究概要 |
ポリエステル骨格の生分解性に着目しデンドリマー型ケージド化合物への利用を主眼に置いた新規なポリエステルデンドリマーおよびデンドロンの設計、および新しい合成法の開発を行なった。 ビルディングブロックの設計には、新規な分岐構造の形成法として、アセト酢酸ベンジルをマイケルドナー、アクリル酸t-ブチルをアクセプターとして用いたマイケル型付加反応を利用した。マイケルドナー2分子をアクセプター1分子に付加させるための、脱保護、塩基の選択などについての最適合成条件を確立し、付加、水素化分解、脱炭酸の3段階後の総収率を80%以上にすることに成功した。つぎにビルディングブロックからの世代成長反応について検討し、脱水縮合反応試薬として「EDCI-DMAP」あるいは「DCC-DPTS」を用いてその最適条件を確立し、60%以上の収率でG2デンドロンを合成した。さらに世代成長とともにt-ブチルの脱保護二はTFAよりもギ酸が適切であることも見い出した。 デンドロンについてはG4までを合成し、その構造をNMR, ESI-MSで確認した。 ベンゼントリカルボニルトリクロライド,コハク酸塩化物、4,4'ビフェニルカルボン酸塩化物とビルディングブロックあるいはデンドロンを反応させることにより、新規なポリエステルデンドリマーG1、G2を合成した。 これらのデンドロン、デンドリマーの末端カルボキシル基を1-ピレニルメチル基で修飾し、その吸収および発光スペクトルを測定した結果、励起状態ではピレンがエキシマーをほぼ完全に形成して分子全体の形状が基底状態とはことなっていると結論した。
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