研究課題/領域番号 |
13680682
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
坂本 和一 筑波大学, 生物科学系, 助教授 (90235169)
|
研究分担者 |
佐藤 英世 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (60235380)
板内 四郎 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (70019579)
|
キーワード | プロスタグランジン / 受容体 / 破骨細胞 / 酸化ストレス |
研究概要 |
本研究は、プロスタグランジン(PG)類による破骨細胞の分化誘導と機能調節の分子メカニズムを明らかにすることを目的とした。特に、PGE_2とPGF_2αが造血幹細胞に直接作用する点に着目し、PGや酸化ストレスによる破骨細胞の分化・機能性の変化や、酸化ストレスによるPG受容体の発現変化、さらに破骨細胞の分化前後におけるPKAとPKCの活性変化などの解析を行った。まず、(1)マウス大腿骨由来の骨髄細胞からG-10カラムにより分離した造血幹細胞を、種々の増殖因子(M-CSF、RANKL)存在下で培養し、PGF_<2α>やPGE_2の濃度、時間、作用時期などを変えて作用させ、破骨細胞への分化と機能性に対する変化を観察した。その結果、上記の培養系において多核でTRAP陽性の破骨細胞の形成が観察され、しかもPGE_2の濃度と時間依存的に破骨細胞の分化が促進された。特に、培養初期にPGE_2を添加した場合に破骨細胞の形成促進が認められた。また上記の培養系にH_2O_2を添加したところ、破骨細胞の形成が著しく促進された。次に、(2)定量RT-PCRを行い、破骨細胞の分化に伴うPG受容体(EPおよびFP)のmRNAの発現変化を解析した。その結果、EP1とEP2は分化前後で安定に発現したのに対し、EP4は分化前で強く発現し、分化後に減少することが明らかになった。一方、FP受容体は、分化に伴う発現変化は認められなかったが、造血幹細胞のH_2O_2刺激により発現が著しく誘導された。また、PGE_2刺激に伴うPKAとPKCの活性を調べたところ、破骨細胞の分化前後においてPGE_2濃度に依存した活性の上昇が認められた。本研究の結果から、PGE_2や酸化ストレスは、造血幹細胞に直接作用してEP4/EP2を介したPKAやEP1を介したPKCを活性化することにより、破骨細胞の分化や機能性の制御に関わっていることが示唆された。
|