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2001 年度 実績報告書

核内レセプターを介する新規細胞内シグナリング機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 13680685
研究機関新潟大学

研究代表者

藤井 博  新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (90165340)

キーワード核内レセプター / シグナル伝達 / コレステロールホメオスタシス / 転写制御 / 胆汁酸 / FXR / LXR / SREBP
研究概要

我々は、核内レセプターFXR(Famesoid-X-Receptor)が胆汁酸に応答して、ヒト胆汁酸トランスポーターI-BABP遺伝子を転写活性化することを明らかにした。更に、1-BABP遺伝子の転写制御機構を詳細に解析したところ、胆汁酸によるI-BABP遺伝子を転写活性化は、ステロール存在下で抑制され、ステロール生合成阻害剤の共存下で促進されたことから、SREBP(Sterol Response Element-Binding Protein)の関与が不唆された。プロモーター解析の結果、SRE様の配列(-72/-62)及びこの配列に隣接して、SREBPのコファクターとして働く転写因子Sp1が結合するccBox様配列(-58/-48)があり、これらの配列は、いずれもステロールによる抑制に関与し、胆汁酸応答配列(BARE=FXRE)と同様に種を超えて保存されていることが確かめられた。これは、胆汁酸で可溶化されたコレステロールの濃度が高いときは、I-BABPの発現を抑制し、胆汁酸の腸肝循環の効率を下げることによって、余分のコレステロルをコレステロールトランスポーターABCA1を介して体外へ排出しているのかもしれない。興味深いことに、I-BABP遺伝子は核内レセプターLXR(Liver X receptor)のアゴニストによって転写活性化されたが、この活性化には、LXRの標的遺伝子SREBP-1cの関与が示唆された。このように、ヒトI-BABPの遺伝子発現は核内レセプーFXR、LXRおよびSREBPなど、クラスの異なるリガンド応答性転写制御因子によって厳密に制御されていた。従って、I-BABPは腸肝循環における胆汁酸の代謝および生体のコレステロールのホメオスタシス維持において重要な機能を果たしていることが確かめられた。また、FXRは、肝臓、小腸、腎臓以外、大腸、副腎、卵巣、精巣、脳などの組織でも発現していることから、FXRの標的遺伝子はコレステロールのホメオスタシス維持だけでなく、高次生命現象の制御にも関与している可能性がある。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] S.Odani: "Identification of a rat 30-kDa protein recognized by the antibodies to a recombinant rat cutaneous fatty acid-binding protein"J.Biochem.. 129. 213-219 (2001)

  • [文献書誌] C.Jing: "Human cutaneous fatty acid-binding protein induces metastasis by up-regulating the expression of vascular endothelial growth factor gene in rat Rama 37 model cells"Cancer Res.. 61. 4357-4364 (2001)

  • [文献書誌] H.Yamane: "Cellular localization of diazepam binding inhibitor (DBI) in the gastrointestinal tract of mice and co-existence wioth fatty acid binding protein (FABP)"Arch. Histol. Cyt.. 64. 449-460 (2001)

  • [文献書誌] Isabelle Zaghini, Jean-Francois Landrier, Jacques Grober, Stephane Krief, Stacey A. Jones, Marie-Claude Monnot, Isabelle Lefrere, Michael A. Watson, Jon L. Collins, Hiroshi Fujii, Philippe Besnard: "Sterol regulatory element-binding protein-1c is resposible for cholesterol regulation of ileal bile acid-binding protein gene in vivo. Possible involvement of Liver X receptor"J. Biol. Chem.. 277. 1324-1331 (2002)

  • [文献書誌] 藤井 博: "脂肪酸結合蛋白質(FABP)"日本臨床. 52. 245-250 (2001)

  • [文献書誌] 藤井 博: "ファルネソイド受容体(FXR)"日本臨床. 52. 309-312 (2001)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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