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2001 年度 実績報告書

カブトガニのリポ多糖受容体の構造解析

研究課題

研究課題/領域番号 13680693
研究機関九州大学

研究代表者

川畑 俊一郎  九州大学, 大学院・理学研究院, 助教授 (90183037)

研究分担者 河野 敬一  富山医科薬科大学, 薬学部, 教授 (10136492)
キーワードリポ多糖 / カブトガニ / LPS / リピドA / G蛋白質
研究概要

カブトガニ顆粒細胞のLPSに対する親和性は非常に高く、哺乳類細胞のToll-like受容体を介した応答に必要とされる1000分の1程度の低濃度でも十分に反応する。したがって、カブトガニ顆粒細胞の表面には、Toll-like受容体とは異なる新規のLPS受容体の存在が推定される。そこで現在までに得られていた、種々のカブトガニ生体防御因子群に対するポリクローナルおよびモノクローナル抗体を用いて、FACScanにより固定化した顆粒細胞の表面抗原を検索した。興味深いことに、体液凝固カスケードの開始因子であり、LPSと特異的に結合してプロテアーゼ活性を発現するFactor Cが細胞表面にも存在していることが判明した。Factor Cと固定化したリピドAとの解離定数をBIAcoreにより解析した結果、2.7×10-8 Mと非常に高い親和性を示し、Factor Cが顆粒細胞のLPS認識の初期過程で機能していることが推定された。一方で、脱顆粒反応には、細胞外のMg2+が必須であることや、顆粒細胞を百日咳毒素や細胞内イノシトール代謝の阻害剤で処理すると、LPSによる脱顆粒反応が阻害されることなどから、その反応にG蛋白質共役受容体が関与していることが示唆された。
顆粒細胞のcDNAライブラリーから、G蛋白質共役受容体と推定されるクローンを単離し、塩基配列を決定した。得られたクローンは、NH2-末端領域をコードする配列を欠いていたが、全体的にプロテアーゼ活性化受容体(protease-activated receptor, PAR)との間に約20%のアミノ酸配列類似性を示した。PARは7回膜貫通領域をもつG蛋白質共役受容体であり、血液凝固プロテアーゼであるスロンビンなどによって受容体のNH2-末端から約40残基が切断され、新たに露出したNH2-末端領域がリガンドとなって情報を細胞内に伝達する。カブトガニ体液凝固セリンプロテアーゼであるFactor Cの合成基質に対する活性は、スロンビンと酷似していることから、細胞表面に存在するFactor CとG蛋白質共役受容体の関係が興味深い。Factor Cは体液凝固系のみではなく、細胞表面での異物認識にも関与している可能性がある。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Norman Kaires: "The 2.0 -A crystal structure of tachylectin 5 provides evidence for the common origin of the innate immunity and the blood coagulation systems"Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 98巻・24号. 13519-13524 (2001)

  • [文献書誌] 川畑俊一郎: "カブトガニC反応性蛋白質の構造と機能の多様性"医学のあゆみ. 200巻・10号. 9532-9536 (2002)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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