研究概要 |
1)長年不明であった相補性群6群のZellwger症候群患者由来線維芽細胞の相補性群を再検証した結果、相補性群C群(FEX6,欧米4群)と同一相補性群であること、FEX6の発現によりペルオキシソームの形成不全が相補されかつFEX6における病因変異del207-292およびdel699-787を見出した。この結果、ペルオキシソーム形成異常症は現在のところ12種の相補性群に分類されることとなった。 2)ペルオキシソーム欠損症の13種類の相補性群のうち最も患者数の多いE群(米国I群)の相補遺伝子であるヒトFEX1を単離し、病因となる遺伝子変異を既に同定している。これらの遺伝子変異によって失われるPex1pの機能とペルオキシソーム形成の障害について,つまり遺伝子型と臨床病型との相関を温度感受性,Pex6pとの結合能および蛋白質としての安定性に着目して明らかにした。このうち重症型の患者から同定されたL664Pおよびdel634-690変異はPex1pのpex6pに対する結合能を著しく低下させることを明らかにした。また、軽症型の患者においてペルオキシソーム形成能が温度感受性を示す変異として同定されたG843DはPex6pに対する結合能には影響を与えず、Pex1pの安定性を温度依存的に失わせていることを見いだした。さらにFEX1のスプライシング異常によってFEX1の変異が引き起こされ、機能欠損につながる複数の症例があることを報告した。
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