ゴルジ体に関係するアポトーシス経路におけるGCP170の役割を解析するために。ペリフェラルなゴルジ膜タンパク質である本タンパク質のゴルジ体局在機構解析をおこなった。GCP170はアミノ酸1-401のプロリンに富んだ領域(head domain;以下HD)とそれ以降のcoiled-coil領域(tail domain;以下TD)から構成されている。本タンパク質のゴルジ体局在に必要な領域を欠失変異体を作成して検索した結果、アミノ酸1-401の領域とcoiled-coilの領域の2カ所にそれぞれ単独でゴルジ体局在能を持つことが明らかになった。さらに詳細に解析した結果HDのアミノ酸179-191とTDのアミノ酸1130-1180局在に必要な領域であることが明らかになった。GCP170は他のタンパク質と複合体を形成して細胞質中に存在しているが、ゴルジ体でも複数のタンパク質と結合していることを強く示唆した。GCP170結合タンパク質を検索する目的でHDのゴルジ体局在ドメインを含むアミノ酸137-247をbaitにしてHeLa細胞cDNAlibraryを用い酵母two-hybrid screeningをおこなった。その結果総アミノ酸数137をコードするクローンが得られた。このタンパク質はAF125102として登録されていた未知のタンパク質をコードするcDNAと同一であった。このcDNAにFLAGのtagを付けHeLa細胞で発現するとゴルジ体の局在が観察された。我々はこのタンパク質をGCP16と名付けた。northern解析ではGCP16は全ての組織でユビキタスに発現していて細胞の基本的な活動に関わるタンパク質と考えられた。推定アミノ酸配列から、GCP16は疎水性の膜ドメインは持たず、ペリフェラルな膜タンパク質と考えられるが、TX114 phase separationでdetergent層に回収された。このことは脂質による修飾を示唆した。実際放射性パルミチン酸で細胞を標識すると、GCP16はパルミトイル化がおこることが明らかになった。現在GCP16の機能についての解析をおこなっている。
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