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2002 年度 実績報告書

プロテオグリカン型チロシンホスファターゼPTPζの細胞情報伝達機構

研究課題

研究課題/領域番号 13680699
研究機関(財)東京都医学研究機構

研究代表者

前田 信明  財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (90202308)

キーワードPTPζ / プロテオグリカン / プレイオトロフィン(PTN) / ミッドカイン(MK) / プルキンエ細胞 / スライス培養 / コンドロイチン硫酸 / 樹状突起
研究概要

私は既に、in vitro結合実験によって、PTPζとPTN/MKとの結合が、PTPζ上のコンドロイチン硫酸鎖に依存することを明らかにしている。また、この結合がコンドロイチン硫酸DやEの添加により顕著に阻害されるのに対し、コンドロイチン硫酸Aでは阻害されないことを見い出し、PTPζ-PTN/MK問の結合は、コンドロイチン硫酸の糖鎖構造に依存することを明らかにした。本年度は、小脳スライス培養系を用いて、組織レベルでのPTPζ情報伝達系の機能解析を試みた。発達期小脳において、PTPζとPTNはプルキンエ細胞の細胞表層に多量に沈着している。そこで、プルキンエ細胞の形態形成にPTPζおよびPTNが寄与している可能性を検証した。まず、小脳スライス培養系にPTPζに対する機能阻害抗体を添加したところ、プルキンエ細胞の形態形成異常が誘導された。同様の異常はPTNの添加によっても誘導され、PTPζ-PTN間の情報伝達経路がプルキンエ細胞の形態形成に関与することが示唆された。次に、コンドロイチン硫酸の寄与を検討するため、小脳スライスをコンドロイチナーゼABC処理したところ、やはり同様の形態形成異常が観察された。さらに、本酵素による処理によって、組織内のPTN含量が顕著に減少することを見い出し、PTNは主としてコンドロイチン硫酸に結合していることを明らかにした。次に、小脳スライスを各種コンドロイチン硫酸標品で処理したところ、コンドロイチン硫酸DやEはプルキンエ細胞の形態異常を誘導するのに対し、コンドロイチン硫酸Aは無効であるというin vitro結合実験の場合と同様の構造選択性を示した。また、この際、コンドロイチン硫酸Dは、小脳スライス内のPTN含量を低下させるのに対し、コンドロイチン硫酸Aは無効であることを確認した。これらのことは、コンドロイチン硫酸鎖を介したPTPζとPTNとの相互作用によって、プルキンエ細胞の樹状突起形成が制御されていることを示している。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] maeda, N.: "Signal transduction of proteoglycan-type protein tyrosine phosphatase, PTPζ"Connective Tissue. 35(in press). (2003)

  • [文献書誌] Tanaka, M., Maeda, N.et al.: "A chondroitin sulfate proteoglycan PTPζ/RPTPβ regulates the morphogenesis of purkinge cell dendrites in the developing cerebellum"Journal of Neuroscience. (in press). (2003)

  • [文献書誌] Sakaguchi, N. et al.: "Receptor-type protein tyrosine phosphatase as a component of the signaling receptor complex for midkine-dependent survival of embryonic neurons"Neuroscience Research. 45. 219-224 (2003)

  • [文献書誌] Kawachi, H. et al.: "Identification of GIT1/Cat-1 as a substrate molecule of protein tyrosine phosphatase ζ/β by the yeast substrate-trapping system"Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 98. 6593-6598 (2001)

  • [文献書誌] Qi, M.et al.: "Haptotactic migration induced by midkine: Involvement of protein-tyrosine phosphatase, mitogen-activated protein kinase and phosphatidylinositol 3-kinase"J. Biol. Chem.. 276. 15868-15875 (2001)

  • [文献書誌] 前田信明: "PTPζのシグナル伝達機構と能の形態形成"細胞工学. 20. 1107-1113 (2001)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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