NDRG1遺伝子欠失マウスの作成 先天性の運動・感覚性神経障害Lomの責任遺伝子であるヒトNDRG1遺伝子のマウス遺伝子を単離し、ターゲティングベクターを構築した。このベクターは、NDRG1遺伝子のプロモーターとエクソン1およびネオマイシン耐性遺伝子をloxPサイトではさむ構造をとる。これをマウスES細胞にトランスフェクションし、G418で選別後、相同組換えをおこした5クローンを得た。このうち2つのES細胞をBlastcystにインジェクションし、キメラマウスを交配させて子マウスを作成し、遺伝子型を調べてヘテロマウスを選んだ。このヘテロマウスとCre recombinase発現トランスジェニックマウス(E2a Cre)と掛け合わせることにより、loxP配列ではさまれたNDRG1エクソン1とプロモーター領域をとばし、Null alleleをもつヘテロマウスを作成した。これを掛け合わせてノックアウトマウスを作成した。また、Genetic backgroundをB6系に近づけるため、B6系Wtマウスとバッククロスさせた。その結果、NDRG1遣伝子ノックアウトマウスは致死性ではないことが判明した。今後、NDRG1ノックアウトマウスを解析し、運動・感覚性ニューロンの研究に役立てる予定である。 本研究は大阪大学細胞生体工学センター近藤壽人教授・東雄二郎助教授の指導を受けて開始した。1系統のES細胞でキメラマウスを作成するところまでを阪大で行い、産まれたキメラマウスをクリーンアップ後、国立循環器病センター研究所に持ち込んだ。また、残りのES細胞からキメラマウスの作成は循環器病センターで行った。なお、研究の途中でマウス室の感染事故発生のため、マウスのクリーンアップが必要となり、時間と経費を使った。
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