研究課題/領域番号 |
13680702
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研究機関 | 国立循環器病センター(研究所) |
研究代表者 |
宮田 敏行 国立循環器病センター研究所, 病因部, 部長 (90183970)
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研究分担者 |
小亀 浩市 国立循環器病センター研究所, 脈管生理部, 室長 (40270730)
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キーワード | NDRG1 / ニューロパチー / シュワン細胞 / 運動障害 / マウスモデル / モデル動物 / 脱ミエリン化 / 神経軸索 |
研究概要 |
NDRG1遺伝子欠損マウスの作成と解析 われわれは、Charcot-Marie-Tooth病4D型(CMT4D;遺伝性運動感覚性ニューロパチーLom型)の責任遺伝子であるNDRG1遺伝子の欠失マウスを作成した。このマウスは、NDRG1遺伝子のプロモーターおよびエクソン1を含む領域を完全に欠損しており、通常NDRG1が最も多く発現している腎臓でNDRG1タンパク質が検出されなかった。NDRG1ホモ欠失マウスの出産は正常であり、オス・メスとも正常に繁殖可能であった。しかしながら、ホモ欠失マウスは野生型あるいはヘテロ欠失型に比べてその発育に少し遅延がみられ、生後2〜4ヶ月齢のうちに後肢の運動機能に明らかな異常が見いだされた。CMT4Dの患者の多くは、10歳代で歩行障害を、30歳代で神経性難聴を発症する。患者は、末梢神経組織の顕著な変性がみられると報告されており、この変性が運動感覚障害の原因であると考えられている。そこでわれわれは、NDRG1欠失マウスの運動機能検査および末梢神経組織の病理組織解析を行った。運動機能検査の結果、ホモ欠失マウスは野生型マウスに比較してその成績が顕著に低下していた。病理組織解析の結果、ホモ欠失マウスは、生後1〜2週齢にかけて神経軸索に正常にミエリン鞘が形成されるものの、5週齢では神経線維の脱ミエリン化などの変性が始まっていた。また3ヶ月齢以上のものは、神経線維に著しい変性が観察された。これらのことから、NDRG1は神経軸索のミエリン鞘の維持に必須であることが示唆された。本研究により得られたNDRG1遺伝子欠失マウスは、ミエリン鞘の維持に重要と考えられる神経細胞とシュワン細胞間の情報伝達機構の解析や、ヒトの末梢神経変性疾患の病態解析のモデル動物として非常に有用である。
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