研究概要 |
1)N-またはC-末端にHis-tagを付加したPex13pまたはPex14pを生理的条件に近いPEX14遺伝子のプロモーター支配下で発現させ、これらHis-tag付加体を含む複合体をペルオキシソーム膜面分よりNonidetP-40で可溶化後Niカラムを用いて精製したが、まだかなり共雑するタンパク質を含んでいた。また、Niカラムでの挙動の差異から、主にPex14pを含む複合体にはPex13pが含まれていないことが示唆された。次に、最近開発された二段階のアフィニティークロマトグラフイーを連続的に行うTAP(tandem affinity chromatography)システムを用いて精製を行った。His-tagと同様にTAP-tagをN-またはC-末端に付加したPex14pの発現株を用いて検討したところ、最終溶出画分中にタグ付加Pex14p以外に、約80,63,28kDaのバンドが検出され、Pex14pがこれらのタンパク質と特異的に結合し複合体を形成していることが示唆された。現在、これらのタンパク質の同定を行っている。 2)In vitroでのimport assay系の確立のために、PCR法にてH.polymorphaのアルコールオキシダーゼ(AO)およびアミンオキシダーゼ(AMO)遺伝子を単離し、転写用ベクター(pCITE-2)にサブクローニングした。現在、in vitro転写・翻訳系により標識したAOとAMOを用い条件検討を行っている。一方、in vivoのimport assay系については、C末端にPTS1(-SKL)または、N末端にAMOのPTS2を付加したGFP融合遺伝子をΔpex14欠失変異株のアルコールオキシダーゼ遺伝子のプロモーター領域に組込み、同プロモーター支配下で発現する株を作製した。これらの株に野生型Pex14pをゼオシン耐性をマーカーとするベクターにより発現させたところ、蛍光が斑点状に観察されPTS融合GFPがペルオキシソームに局在していることが示唆された。一方、ベクターのみの場合は蛍光が細胞質全体に分散していた。これらの結果より、今回作製したPTS融合GFPを発現するΔpex14欠失変異株はPex14pの構造機能相関の解析に有用であり、現在種々の変異体Pex14pを発現させて検討しているところである。
|