研究概要 |
線虫C. elegansは300を超えるプロテアーゼ様配列をコードする遺伝子を持つ.C. elegansが持つすべてのプロテアーゼおよびプロテアーゼインヒビター様遺伝子を標的に,RNAiによる機能検索を行った。現在までに約190の遺伝子についてRNAiを行った.C. elegansの生活環に必須のプロテアーゼは,プロテアソーム,シグナルペブチダーゼ,Lonプロテアーゼ,カテプシンL様システインプロテアーゼの1種,トリブシン様セリンプロテアーゼ,ユビキチン特異的プロテアーゼの数種,ミトコンドリアプロセッシングプロテアーゼなどであり,RNAiにより胚致死や幼虫期における致死性を示した.プロテアソームの構成サブユニットはほとんどが必須であるが,Rpn9,Rpn10,Rpn12のRNAiは単独では必須性を示さなかった.しかしRpn10とRpn12の二重阻害は致死性を示す.この他,形態形成に関与するADAMTS1種,脱皮に関与する金属プロテアーゼ2種,生殖巣先端細胞の移動に関与するセリンプロテアーゼ6種などを見出した.これらの個々の分子について,in situ hybridization,免疫染色,GFPをレポーターとした発現実験により発現部位を明らかにした.また,いくつかについては,昆虫細胞でタンパク質を調製し,酵素学的な性状解析を行った.
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