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2001 年度 実績報告書

T4テイルリゾチームの構造解析と分子間相互作用

研究課題

研究課題/領域番号 13680736
研究機関東京工業大学

研究代表者

有坂 文雄  東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助教授 (80133768)

キーワード分子集合 / リゾチーム / テイルリゾチーム / 収縮性尾部 / 感染機構 / バクテリオファージ / X線結晶解析 / 超遠心分析
研究概要

T4ファージのテイルリゾチーム複合体はgp5, gp27各3分子からなるヘテロ6量体で総分子量は約32万である。この蛋白質の立体構造を2.9Aの分解能で決定した。位相はgp27のセレノメチオニン置換によって求められた。即ち、His-TagをC末端に結合したgp5をNiカラムに結合させた後、gp27をのセレノメチオニン置換体をカラムに流してヘテロ6量体を形成させた後、精製し、結晶化してセレオニン同型置換体を得た。gP5-gP27複合体はベースプレート中央に存在し、長さ190Åの「たいまつ」のような形をしている。上部は3分子のgp27が外形80Å、内径30Åの円筒構造をなしており、下部はgp5のC末端が3本鎖β-ヘリックス構造を形成している。リゾチームドメインはアミノ酸配列上、感染増殖後の内側からの溶菌に関与するT4リゾチームと43%の相同性を持つ。立体構造上もこの2つのリゾチームは誤差(RMSD)1.1Åで重なり、ほぼ同じ構造をしている。C末端ドメインは長さ110Å、幅28Åのβシートで形成された三角柱と見なせる。特にそ1のC末端側(436-575)は、3本のポリペプチドが互いによじれあって形成される3本鎖βヘリックスという新規のフォールディングモチーフを形成している。この部分には一次構造上VXGXXXXXという配列が12回繰り返して存在し、各三角形の頂点にグリシンがあってポリペプチドが大きく曲がり、バリン残基はその側鎖がグリシンより一つC末端側のアミノ酸残基の主鎖の間に生じるポケットに入り、βヘリックス断面の三角形の頂点における留め金の役割を果たしている。この110Åの細い「針」は厚さ60Åの大腸菌外膜を貫くのに充分な長さと強度を持ち、感染の際、尾管の先端にあって外膜に進入する時の針の役割を担っている。この進入の過程でC末端のドメインが切り離され、リゾチーム/N末端ドメインが単量体に解離することによってリゾチームが活性化され、局所的にペプチドグリカン層を溶解して穴をあける。本構造はファージの感染メカニズムの理解に重要な知見をもたらした。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] Shuji KANAMARU: "The Structure of the Bacteriophage T4 Cell-Puncuring Device"Nature. 415. 457-560 (2002)

  • [文献書誌] Toshiharu SUZUKI: "Adaptation of a thermophilic enzyme, 3-isopropylmalate dehydrogenase, to low temperatures"Protein Engineering. 14. 85-91 (2001)

  • [文献書誌] 有坂文雄: "T4ファージの自己集合におけるシャペロンの機能"ウイルス. 51・1. 57-61 (2001)

  • [文献書誌] Kei-ichiro INAMORI: "Phylogenetic Perspectives on the Vertebrate Immune System"Kluwer Academic/Plenum Publishers.. 6 (2001)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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