DNAミスマッチ修復(MMR)遺伝子、hMLH1の胚細胞変異は、遺伝性非腺腫症性大腸癌(HNPCC)の主要な原因である。また、その異常の約30%がミスセンス変異であるという特徴をもつ。そのため、これらのミスセンス変異が本当に病気の原因であるのか、それとも単なる多型なのかを評価することが重要である。本研究で、われわれは、これらの点を明らかにする簡便で効率の良いアッセイ法を開発することに成功した。まず、ICG-HNPCCのデ-タベ-ス(http://www.nfdht.nl)を検索し123種のhMLH1ミスセンス変異を選択した。次に、hPMS2あるいは、hEXO1をbaitとして、two-hybrid assayをおこなった結果、78%(18/23)で野生型に比べ、β-ガラクトシダーゼ活性の著しい低下を検出した。また、β-ガラクトシダーゼ活性の低下が見られなかった5つのミスセンス変異のうち、2つは多型であることが判明した。一方、すでに報告のある9種のアミノ酸の変化を伴う多型については、野生型とほぼ同じβ-ガラクトシダーゼ活性を示すことが明らかとなった。さらに、hPMS2との相互作用領域の一部あるいは、大部分を含む11種のフレームシフト変異、3種のナンセンス変異、1種のin-frame deletionについても解析をおこない、同様に、著しく低いβ-ガラクトシダーゼ活性を示すことを見出した。これらをまとめると、87%(33/38)のhMLH1胚細胞変異がtwo-hybrid assayによって評価できることになる。さらなる解析の結果、これらの異常は、hMLH1蛋白のN末およびC末での構造異常によるものであることが明らかになった。したがって、この方法はhMLH1胚細胞変異、特に、評価の難しいミスセンス変異の簡便で正確な診断を可能にする。
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