研究課題/領域番号 |
13680758
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
任 鳳蓉 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教務職員 (60280989)
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研究分担者 |
鈴木 泰博 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (50292983)
田中 博 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (60155158)
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キーワード | ウイルス宿主内進化 / 中立進化 / 淘汰進化 / 非一様性進化モデル / Sequential-linkingアルゴリズム |
研究概要 |
平成十三年度の研究計画が順調に進んでおり、特にウイルスの宿主内進化解析アルゴリズムの開発において、新たな知見が得られ、研究は新しい段階に至った。 ウイルスの宿主内モデルの構築は平成十三年度でほぼ完成した。我々はYangのコドン準拠モデルを改良し、非一様性マルコフ進化モデルを作成した。このモデルを利用することにより、宿主内で進化する病原性ウイルスの準種がどの時期にどんな進化様式(中立進化あるいは淘汰進化)を採ったのかを調べることができた。しかし、今後多様な病原性ウイルス連続サンプルヘの適用に伴って、この進化モデルがさらに発展する可能性がある。 Sequential-linking法について、最初最尤法に基づいてのアルゴリズムを開発したが、実際のデータに適用した段階で、この方法がウイルスの準種の数が増えると尤度の計算に莫大な時間がかかり、実用性の面では弱いことが分かった。これを解決するため、我々は距離法に基づいた新しいアルゴリズムを考え出した。この方法はウイルス準種間の距離の計算に基づいて順次に準種配列をクラスター化して、最後に時間経過的な系統樹を作成するという手順で、計算時間が最初の方法より遥かに速い。さらに、前の観測時点から次の時点へ引き続き存続する準種つまり"immunological escape variant"の選出について、「同じ時点で得られたvariantより、次の時点で得られたvariantとの進化距離が近いような準種を選び出す」という新しい基準を導き出した。この新しいアルゴリズムが平成十三年度の日本ウイルス学会で発表されて、ウイルス学者たちの注目を集めた。 平成十四年度の計画は、この方法を大量かつ多様な病原性ウイルスサンプルに適用して、その独創性と実用性について検証することである。その研究成果を専門雑誌に投稿する予定であり、計算プログラムの公開も考えている。
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