酸化RNAに特異的に、且つ強固に結合する蛋白を大腸菌およびマウス細胞抽出液中に検出し、大腸菌についてはこれがPNP蛋白(pnp遺伝子)であることを既に報告した(Biochemistry 2001)、この成果を基盤として、以下に述べる2つのアプローチでヒトの酸化RNA結合蛋白・遺伝子のクローニングを試みた。それぞれのアプローチについて研究実績を記す。 1)構造的ホモログの検索 大腸菌PNP蛋白のアミノ酸配列情報を元にESTデーターベースから構造的ホモログを同定しこれをクローニングした。現在クローニングしたcDNAを大腸菌で発現させ、その遺伝子産物について生化学的解析を進めつつある。 2)機能的ホモログの検索 酸化RNA結合蛋白を生化学的に検索し、ヒトYB-1蛋白にそのような活性があることを明らかにした。さらに様々なdeletion変異蛋白を合成し、結合ドメインを明らかにした。また、このヒト蛋白を大腸菌で過剰発現させると酸化ストレスを引き起こすパラコートに対して耐性になることが明らかとなった。これらの結果は既に下記の論文として報告した。(Biochemistry 2002)。 3)上記の1)2)のRNAの酸化に関する研究と並行して、ヌクレオチドの酸化に対する生体防御横構について解析を行い、酸化型dGTPを分解するヒト酵素(MTH1)について新たな生化学的知見を報告した(J. M. B. 2002)。
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