我々がクローニングしたアンカリング蛋白質CG-NAPは、中心体およびゴルジ体に局在するコイルドコイル蛋白質である。CG-NAPの中心体における機能解析を目指して中心体局在領域をベイトとした酵母Two-hybrid screeningを行ったところ、カルシウム結合蛋白質カルモジュリン(CaM)が得られた。CaMは酵母において中心体(Spindle Pole Body)に局在し、これと結合するコイルドコイル蛋白質Spc110pはγ-tubulin ring complex(γTuRC)とも結合することにより微小管形成の起点を構成していることから、CG-NAPが動物細胞において同様の機能を有する可能性について検討を行った。 1.CG-NAPの中心体局在領域とCaMはin vitroでカルシウム依存的に直接結合することが明らかになった。しかしながら、免疫沈降実験から細胞内環境においてはこの結合はカルシウム依存的ではないことが示唆された。 2.ヒトγTuRCの構成蛋白質(GCP2、GCP3、γ-tubulin)のcDNAおよび抗体を調製し、CG-NAPとの結合を調べたところ、CG-NAPはGCP2およびGCP3を介してγ-tubulinと結合することを見出した。またこの結合は内在性蛋白質においても観察され生理的条件下で形成されていることが確認された。 3.動物細胞由来の単離中心体から微小管を形成させる系を導入確立し、抗CG-NAP抗体の影響を調べたところ、微小管形成の開始が阻害された。以上より、カルモジュリンとの結合の意義は未だ不明ではあるが、CG-NAPは中心体においてγTuRCと結合し微小管形成の起点として機能することが強く示唆された。
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