オルガネラ間のタンパク質輸送はコートタンパク質で覆われた小胞によって媒介されている。COPII小胞は小胞体から出芽する輸送小胞であり、タンパク質を小胞体とゴルジ体の間に存在する中間コンパートメントまで輸送する。申請者らは、COPIIコートタンパク質と結合し、リパーゼ構造を持つタンパク質p125を発見した。 これまでの研究よりp125はCOPIIコートタンパク質と同様に小胞が出芽するER exit siteに局在することがわかっていた。COPIIコートタンパク質の膜への結合は低分子量GTP結合タンパク質であるSar1PのGTP/GDPサイクルに依存する。p125の局在がSar1Pにより調節されているのかを調べるためSar1PのGTP結合型、GDP結合型変異体を培養細胞で発現させp125の局在を調べた。その結果、p125のER exit siteへの局在はCOPIIコートタンパク質と同じくSar1PのGTP/GDPサイクルに依存することがわかった。 RNAi法によってp125の発現を阻害してオルガネラ構造への影響を調べた。小胞体、ER exit site、シスゴルジ、トランスゴルジ、ミトコンドリアの構造をそれぞれのマーカータンパク質の染色により観察した。p125の発現が低下した細胞では、通常は核近傍に密集しているER exit siteが細胞全体に分散する傾向が見られた。またこのとき核近傍に固まって存在するはずのシスゴルジは広がっていた。一方、小胞体、トランスゴルジ、ミトコンドリアの構造には変化は見られなかった。これらの結果はp125がER exit site、シスゴルジの構造維持に関与している可能性を示唆する。
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