研究概要 |
ショウジョウバエDRE(DNA replication related element、TATCGATA)は、DNA複製関連遺伝子や多くの増殖関連遺伝子の上流域に共通して存在し、この塩基配列に転写制御因子DREF(DRE-binding factor)が結合することによって、これら遺伝子の転写制御が行われている。DREFはクロマチン構造修飾因子であるPolycombやMi-2(Zinc finger helicase)などとの相互作用を通じて、DREをもつ遺伝子の転写活性化をもたらすことを示唆する結果を得ている。DREは転写開始点から約2kb以内では活性化能を示し、又隣接して存在する複数のDRE(上記配列と1-2bp異なるも含まれる)にDREFが結合することを証明している。ショウジョウバエゲノムのスクリーニングを行い、DREに制御される可能性のある遺伝子の検索を行った。456のTATCGATA配列が見つかり、そのうち188は、156の遺伝子の転写開始点から約1kb以内に存在していた。これらの遺伝子は、DNA代謝、転写制御、核とクロマチン構造、タンパク質代謝、シグナル伝達、細胞周期、生殖系列の成立に関わるものであった。このことはDRE/DREFが、多くの増殖関連遺伝子に共通の転写活性化制御系であることを示唆している。一方,ショウジョウバエ幼虫の唾腺多糸染色体を抗DREF抗体にて免疫染色し,数百のバンドを見い出し,これらの場所とそこに存在する遺伝子の同定を進めている。一例として,細胞周期制御機能に関与し2つのDREをもつskpA遺伝子局在(X染色体の1B)と抗DREF染色の一致が見られた。現在、DNAチップ法を用いて、DREFによる制御を受けている遺伝子の検出を行っている。
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