ショウジョウバエの全ゲノムが公開されているので、DREによって制御されている可能性のある遺伝子スクリーニングを開始し、すでに約200の遺伝子の同定をした。これは、DRE配列(TATCGATA)と完全に一致する配列を、転写開始点より上流1kb以内にもつ遺伝子である。このほかに、今までDREFによる制御を受けていることを証明している遺伝子についての知見から、以下のような条件をもつものも候補に上がると考えた。(1)上記配列とは1-2塩基対異なるものも、DREFと結合し、転写促進配列ときして機能することがある。(2)特にこのような配列が200塩基対程度以内に複数存在するときにはその可能性が高い。このような基準に基づいて、さらに広範に検索して候補遺伝子を見い出した。また、スクリーニングによって得られた遺伝子の転写制御にDRE/DREFが関わっていることを証明するプロモーター解析方法は確立した。一方、DREF、BEAFにたいする抗体を既に得ており、唾腺染色体上でDREFとBEAFによって制御を受けている遺伝子の存在領域を検出することが可能であり、そのマップとゲノム情報から、そこに存在する遺伝子の同定が可能になった。さらに、DREFを発現を抑制する遺伝子導入ハエを作成、そこで発現が上昇または低下する標的遺伝子をDNAチップをもちいて証明する実験を行った。
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