研究概要 |
イトミミズ胚における中胚葉決定因子の分子性状を明らかにすることを目的として、中胚葉前駆細胞(4d細胞およびM細胞)に特異的に隔離される母性mRNAの検索を行った。まず、正常胚(20細胞期)および4d除去胚から抽出・精製したpoly(A)^+RNAをそれぞれ出発材料にして、PCRをベースとしたcDNAのサブトラクションを行った。得られたPCR増幅産物をプローブとして、1細胞期胚のcDNAライブラリーをスクリーニングしたところ、5個のcDNAクローンが陽性反応を示した。現在、これらの塩基配列を決定するとともに、digoxigenin標識のRNAプローブを用いたin situハイブリダイゼーションにより発現パターンを調査している。 これらと併行して、他の動物で中胚葉特異的といわれる遺伝子(snail,twist)やその他の遺伝子(dorsal,decapentaplegic,hairy,caudal)のイトミミズホモログの単離を行い、空間的発現パターンを調べた。いずれの遺伝子も胚帯(germ band)で発現している点で共通していた。dpp以外は初期卵割期の小割球での発現が見られたが、4d細胞あるいはその前駆細胞(D細胞系列)にその発現が検出されたものはなかった。したがって、前記「母性mRNA」にこれらの遺伝子が含まれる可能性は低い。
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