本研究ではヒトデ卵母細胞を用いて、1)Na^+/H^+アンチポーターの活性化機構の解明、とII)細胞内pH上昇によるプロテアソーム活性上昇機構の解明、を行った。その結果、以下に示す成果を得た。 1)ヒトデ卵細胞内pHは、ホルモンである1-メチルアデニンによって上昇し、このときにNa^+/H^+アンチポーターが関与している。木研究では、1-メチルアデニンレセプター→GTP結合タンパク質→PI3キナーゼ→Na^+/H^+アンチポーター→細胞内pH上昇、の情報伝達系を明らかにした。さらに、細胞内pH上昇を阻害すると、GVBDには影響無いが、極体放出が阻害されることを明らかにした。またRTPCRでイトマキヒトデのNa^+/H^+アンチポーター遺伝子を増幅した。II)ヒトデ卵無細胞系において、ポリユビキチン化されたサイクリン量の変動をウエスタンブロットで検出することに成功した。本法を用いて検討したところ、pH上昇によるプロテアソーム活性の増大に伴い、ポリユビキチン化されたサイクリンが速やかに分解されることを確認した。これらの結果から、細胞内pH上昇→プロテアソーム活性の増大→ポリユビキチン化されたサイクリン分解促進→分裂中期の終了→極体放出、の順で減数分裂が進行していることが確かめられた。
|