研究課題/領域番号 |
13680806
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中西 康夫 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40022636)
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研究分担者 |
桧枝 洋記 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30243132)
東山 繁樹 大阪大学, 医学部・保健学科, 助教授 (60202272)
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キーワード | マウス唾液腺 / 形態形成 / 上皮-間充織相互作用 / EGFファミリー / HB-EGF / neuregulin / コラーゲンゲル |
研究概要 |
上皮-間充織相互作用を示す典型的な器官として知られるマウス胎仔唾液腺上皮の枝分かれについての我々の仮説は、上皮を取り巻く間充織がコラーゲン線維束を牽引して上皮に力を及ぼして鋭いクレフトを形成するというもので、間充織の運動が重要な役割を果たしているとするものである。その間充織運動は、EGFファミリー成長因子群の細胞膜成分からのブロセッシングを阻害する薬剤、OSU8-1を唾液腺培養系に添加すると、上皮の形態形成と増殖がほぼ完全に阻害され、同時にLatex beadsの動きで判断される間充織運動も阻害された。したがって今年度の研究計画はEGFファミリー成長因子群の関与と間充織運動をさらに具体的に解析することを目的とし、次のような結果を得た。 1)EGFファミリー成長因子群の発現をRT-PCRで調べるとHB-EGFが予想通り強く発現しているが、同じファミリーと思われるneuregulinl、2も強く発現しており、マウスホモログのクローングに成功した。 2)特にneuregulinlは間充織に強く発現しており、アイソフォームであるβ1の中和抗体によって形態形成が阻害されることから、間充織運動への関与が示唆される。 3)色素を結合させた3μmのLatex beadsを唾液腺原基にまぶして培養するとbeadsは通常上皮近傍の間充織の深い場所まで巻き込まれるが、myosin ATPase阻害剤である2,3-butanedione monoxime(BDM)はこれを強く阻害(固定切片による解析)し、上皮の形態形成も阻害した。 4)間充織細胞によるコラーゲンゲル収縮もBDM添加によって阻害され、その除去で回復することからコラーゲンゲル収縮能も上皮形態形成に必須と考えられる。 以上の結果は、上皮の形態形成に対するEGFファミリー分子のさらなる関与、および間充織運動の関与を強く示唆している。
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