交感神経節前ニューロンの細胞体は胸髄の側角に存在し、その神経線維を交感神経節に投射する。交感神経節前ニューロンは、自律神経系における重要な中継路である。私達は既に、ラット交感神経節前ニューロンの細胞体の20%がB型モノアミン酸化酵素(MAO-B)を持ち、その他の細胞体はA型モノアミン酸化酵素(MAO-A)もMAO-Bも持たないことを報告した。私達は今回、ドーパミン神経終末が特異的にMAO-B陽性交感神経節前ニューロンの細胞体にシナプスをつくり、MAO-B陰性の細胞体とはシナプスを作らないことを明らかにした。これらの知見は、交感神経節前ニューロンは、単なる中継路ではなく、自律神経情報の統合処理を行っていることを示唆する。私達は哺乳動物の脳内にD-セリンが大量に存在することを発見した。グルタミン酸ニューロン(記憶・学習機能を担う)のシナプス部位を取り巻くグリア細胞がD-セリンを合成することが明らかになった。我々はさらに、D-アミノ酸オキシダーゼが小脳と脳幹のグリア細胞に特異的に発現し、グルタミン酸ニューロンが多い大脳にほとんど検出できないことを明らかにした。スンクス脳におけるヒスタミンニューロンの分布を明にした。ヒスタミンニューロンの細胞体は、乳頭体にだけ存在した。ヒスタミンニューロンの神経線維は、間脳と終脳に多く見られた。齧歯類では、正中隆起にヒスタミン神経線維が濃密に観察されるが、スンクスの正中隆起にはほとんど見られなかった。
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