研究概要 |
口腔領域に分布する三叉神経第3枝のヒト下顎神経の横断切片を作製して,新しい染色法のMasson-Goldner-Goto法(神経識別染色のひとつ)で染めて無髄線維を確認し,その形態計測学的評価を行なった. 本研究では6例の有歯顎解剖体(年齢26〜85歳,平均66.2歳,男性4例,女性2例)を対象とした.顕微鏡・画像解析装置・コンピュータを用いて染色標本の形態計測を行なった.計測項目は無髄線維の軸索数,軸索面積,軸索周長である. 下顎神経の無髄線維の軸索数は単位面積(2192.5μm^2)当たり10〜29(平均18.8±4.8)で,加齢に伴う数の変化は認めなかった(相関係数=-0.094).軸索面積は加齢とともに横断面積が増加し(相関係数=0.8564),その軸索周長も増加する(相関係数=0.9120)ことが分かった. 加齢とともに無髄線維の軸索サイズが大きくなる理由は現時点では分からない.また,これまでの研究では方法論的な制約のためにヒトの神経で無髄神経線維を染め出して検討をすることは行なわれてはいない.さらに,従来の鍍銀法では軸索は銀を取り込むものの,軸索自体の収縮が高度であり,太さの評価には適していない.
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