研究概要 |
平成13年度には口腔領域に分布する三叉神経第3枝の下顎神経について有歯顎の6例の解剖体(年齢26〜85歳)で横断切片を作成し,研究代表者の開発した神経識別染色法のひとつのMGG法で染めて無髄線維の形態計測学的評価を初めて行った.その結果,これまで存在がわからなかった無髄線維の存在を初めて証明し,また下顎神経は加齢とともに軸策横断面積が増加し(相関係数=0.8564),その軸索周長も増加する(相関係数=0.9120)ことが分かったが、無髄線維数の増減は認めなかった. 平成14年度は同じ神経の同一の切片で有髄線維の形態計測学的評価を追加した.有髄神経線維は加齢とともにその軸索面積は顕著な減少することを確認した(相関係数=-0.9460).これは人体の他の末梢神経と同様の変化である. 下顎神経で、加齢とともに有髄神経線維の軸索はサイズの減少が見られ,人体の他の神経と同じ傾向を示すのに,無髄神経線維のみはその軸索サイズが加齢とともに増大する理由は現在のところ見つかっていない.以下の結果は標本作成上の問題ではなく,明らかに認められる加齢現象であることを初めて確認した.
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