研究概要 |
ヒトてんかん患者の外科切片組織を用いて、てんかん焦点部位のグルタミン酸トランスポーターの活性、組織内局在を、グルタミン酸トランスポーター(EAAT1,EAAT2,EAAT3)に対するモノクローナル抗体を用いて各種疾患対象について検討した。特に今年度は各種の形成異常病変について検討した。検索した対象は異型グリア細胞、異型神経細胞が様々な程度で出現する代表疾患である限局性皮質異形成、結節性硬化症、片側巨脳症であった。それぞれに対してまず、neurofilament-68K,-160K,-200Kなどのニューロン細胞骨格蛋白、またGFAP、virn entinなどのグリア細胞骨格蛋白に対する抗体を用いて、異型細胞の出現パタンについて観察し、大きくグリア細胞優位型(G-dominant)、神経細胞優位型(N-dominant)、その中間型(Mix ed)の3型に分類した。次にそれぞれの型について、グルタミン酸トランスポーター抗体に対する免疫染色性を定性的に評価し各型についてその相関を検討した。その結果、G-dominantではグルタミン酸トランスポーターの表出異常が顕著であり、一方、N-dominantではほぼ正常に近い表出パタンを呈した。このことはグルタミン酸トランスポーターの機能異常がG-dominant病変で強く認められることを示唆しており、同病変のてんかん原性の獲得に何らかの因果関係があるものと考えられた。
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