研究課題/領域番号 |
13680841
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研究機関 | 香川医科大学 |
研究代表者 |
渡邊 泰男 香川医科大学, 医学部, 助教授 (10273228)
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研究分担者 |
松原 守 日本オルガノン株式会社, 医薬研究所, 主任研究員 (90288481)
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キーワード | カルシウム・カルモデュリン / 神経型NO合成酵素 / カルモデュリンキナーゼ / リン酸化・脱リン酸化 / 虚血シグナル / 海馬神経細胞 / 構造生物学 |
研究概要 |
本研究では共にカルモデュリン(CaM)受容蛋白である神経型NO合成酵素(nNOS)とCaM依存性リン酸化酵素II(CaMキナーゼII)とのダイナミックなクロストークを我々が創製したnNOSのリン酸化部位(Ser847)特異的認識抗体を用いて、細胞・組織・個体の生理・病態レベルで解析することを目的とした。本年度は前年度までに得られた、2A型の脱リン酸化酵素が生理的条件下において、Ser847リン酸化nNOSの脱リン酸化を担う主体酵素であるという知見をさらに発展させ、以下の研究を行った。(1)ラット脳の一過性虚血モデルを用いたnNOSとCaMキナーゼIIとのクロストークの解析を行った。(2)nNOSのCaM結合による結合様式を通した活性化機構解明の鍵ともなる、CaM結合部位を含んだペプチドとCa2+/CaM複合体の結晶構造解析を行った。その結果、(1)脳虚血のエピソードで海馬神経にて、nNOSとCaMキナーゼIIのクロストークがnNOSのSer847リン酸化を介して存在し、虚血耐性に関与している可能性が示唆された。(2)CaMの標的蛋白との新規結合様式を見出した。 今後の研究課題:今回の研究費では、虚血モデルを通して神経機能におけるCaMキナーゼとNOのシグナルのクロストークを分子レベルで解明しようとしたものである。今後は現在までに得られた知見を更に発展させ、1、細胞内でのnNOSの当該リン酸化におけるpostsynaptic density-95などの機能分子の空間的局在の重要性の検討。2、新しいリン酸化を介した、nNOSの活性制御機構の解明。3、CaM結合によるnNOSの活性化メカニズムの構造生物学的アプローチを展開させたい。
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