研究課題/領域番号 |
13680850
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経化学・神経薬理学
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
梶村 眞弓 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10327497)
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研究分担者 |
津山 伸吾 大阪府立大学, 農学部, 教授 (00094508)
末松 誠 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00206385)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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キーワード | soluble guanylate cyclase / carbon monoxide / nitric oxide / retina / Muller cell |
研究概要 |
Soluble guanylate cyclase (sGC)は、細胞内second messengerであるcGMPの生成反応を触媒するヘム酵素である。その酵素活性はNOやCOによって増強されることが報告されているが、両ガス分子が共存するin vivoでの本酵素の活性調節機構については不明な点が多い。COがNO依存性sGC活性化をsynergisticにあるいは逆にantagonisticに制御するかは長い間論争の的であった。そこで本研究では、sGC活性化に伴う構造変化を認識する抗sGC単クローン抗体(mAb3221)を用いた免疫組織化学的メカニスティックプロービングという全く新しいアプローチにより、ラット網膜組織におけるsGCによるin vivoガスセンシングの空間的解析を試み、生体内でのNO・COの制御分子としての役割を考察した。 ラット網膜という組織学的に層を構成する細胞種の同定が容易である実験系の選択がもたらした最大のメリットは、シグナル分子であるCO・NOとそのセンサー蛋白のsGCの相互作用が一組織内であるにもかかわらず、一面的でなく多面的に捉えられたことである。ハウスキーピングレベルのCOを抑制すると、網膜全層にわたるhomogeneousなsGC活性化が起きるのに対して、NOを抑制した状況下でのCO抑制はheterogeneousであり層特異的であることが判明した。つまりexternal limiting membrane (ELM)とoptic fiber layer (OpFL)では、内因性のCO抑制によってNO単独阻害による抑制に加えてさらなるsGC活性減少が起きるが、一方inner nuclear layer (INL)とinner plexiform layer (IPL)ではこのような相加的な減少は示されない。 COに対するこのようなheterogeneousな反応性のメカニズムのkeyとなるのは局所のNO availabilityであるという仮説のもとにin vivo実験系でさらなる検証をした。ウシ肺から精製したsGC精製標品を用い、CO存在下・非存在下でNO donorであるS-nitroso-N-acetylpenicillamine (SNAP)によるsGC活性を測定した。反応溶液中にCO(10-30μM)が存在するとSNAPの濃度が低い範囲ではsGC活性は促進され、逆にSNAPの濃度が高い範囲では抑制された。このデータはCOがNOによるsGC活性化の行き過ぎを抑制する一方、NOの低い状況下ではsGC活性化を介して基礎cGMP量を確保するためのagonistと働く可能性を示唆するものであり、我々の仮説を支持するものである。
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