研究課題/領域番号 |
13680853
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
安西 偕二郎 日本大学, 薬学部, 教授 (30114359)
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研究分担者 |
船越 智子 日本大学, 薬学部, 助手 (90318460)
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キーワード | 神経細胞 / mRNA輸送 / 小胞輸送 / Purα / Staufen / MyosinVa / FMRP / Kinesin5A |
研究概要 |
これまでに、PurタンパクがBC1RNAの樹状突起輸送cis配列に結合することを報告した。また、このタンパクが神経細胞で高発現している事や、細胞質では、polysomeに結合している事を見出し報告した。本研究では、このタンパクが相互作用しているpartnerを同定する目的で、脳のpolysome画分を抗Pur抗体を用いて免疫沈澱した。その結果、沈殿には、予想されたようにribosomeが見出された。ついで、沈殿にどのようなタンパクがあるか種々のタンパクの抗体を使いWestern blot解析を行なった。主には神経細胞の樹状突起へのRNA輸送や、シナプス部における翻訳反応に関係するタンパクに狙いを定めて解析した。検出されたタンパクは、Purαに加え、Fragile X syndromeタンパク(FMRP)、Staufen、MyosinVa、Kinesin5Aであった。これらのタンパクのうち、Pur、FMRP、Staufen、MyosinVaはglycerol garadient解析でpolysomeと同じ挙動を示した。また、Kinesin5Aは、NP40存在下では、免疫沈澱しなかった。更に、免疫沈澱の際に高濃度のEDTAを共存させると、Pur、FMRP、Staufen、MyosinVaはmRNAとの複合体として、ribosomeから遊離する事が分かった。これらの結果はPur、FMRP、Staufen、MyosinVaがmRNPの構成タンパクとしてroughERを形成していることを示唆している。StaufenやFMRPが樹状突起へのmRNAの輸送や、シナプス部での翻訳に関係していると報告されている事や、小胞にKinesinモーターが相互作用している事、樹状突起棘状シナプス内部での輸送に関与しうるMyosinVaがある事などを考え合わせると、Purαタンパクは特定のpolysomeを細胞骨格を利用して樹状突起へ輸送する複合体の構成成分であると考えられ興味深い。さらにこの複合体には20を超える未同定のタンパクがある。これらの実体や、輸送されるmRNA種について解析する事は今後の大切な課題である。
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