研究概要 |
GnRH分泌におけるNOの生理学的意義を解明するため、エストロゲンによるNOSの遺伝子発現の変化について研究を施行した。成熟雌ラットを卵巣摘除(OVX)し、14日後に3グループに分けた。グループ1は、OVXしたラットにシリコンカプセル(ブランク)を投与したもの(OVX群)、グループ2は、OVXしたラットにエストラジオールカプセル(14mm,濃度50μg/ml)を皮下に投与したもの(低エストロゲン群)、グループ3はOVXしたラットにエストラジオールカプセル(5mm,結晶)を皮下に投与したもの(高エストロゲン群)である。グループ2は発情間期に相当する低いエストロゲン値を示す群、グループ3は、48時間後にGnRH分泌、LHサージを実験的に引き起こす発情前期のプロトコールである。これら3グループのラットを用いてnNOSに対するIn Situハイブリダイゼーション法を施行した。nNOSmRNAに対するプローブは、45ベースのオリゴヌクレオチドプローブを[α-^<35>S]deoxy-ATPにてラベルしたものを使用した。ハイブリダイゼーションは、37℃で8時間行い、洗浄後にIlfordK-5を用いてDippingを行い8週後に現像を行った。陽性細胞数および陽性細胞上のシグナルを解析したところ、高エストロゲン群においては、視床下部のAnteroventral periventricular nucleus(AVPv)およびmedial preoptic nucleus(MPN)においてnNOSmRNA陽性細胞数の増加が認められた。さらにMPNにおいては陽性細胞におけるシグナルについても増加を示したことより、雌ラットの視床下部においては発情前期においてnNOSの合成が亢進していることが示唆された。
|