研究課題/領域番号 |
13680882
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
桑名 俊一 帝京大学, 医学部, 講師 (70129998)
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研究分担者 |
岡田 泰昌 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80160688)
長井 孝紀 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50130026)
菅原 美子 帝京大学, 医学部, 講師 (20082191)
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キーワード | GABA / GAD / ノックアウトマウス / 呼吸リズム / 呼吸パターン / 呼吸ニューロン / 単離脳幹脊髄標本 / 口蓋裂 |
研究概要 |
本研究は、呼吸神経回路の発達過程におけるGABAの役割を解明するため、GAD67(GABA合成酵素;グルタミン酸デカルボキシラーゼ)ノックアウトマウス(GAD67-/-)を用い、その中枢性の呼吸調節について胎生期から新生期まで経時的に検討することを目的としている。GAD67-/-マウスは出生後数時間以内に死亡するが、これは上気道奇形(口蓋裂)に伴う換気障害によるものと考えられていた。しかしながら、脳内のGABA濃度はワイルドタイプ(GAD67+/+)に比較して著しく減少しているため、呼吸中枢の異常を併発している可能性が高い。本年度は、まず最初に、GAD67-/-新生マウスの呼吸様式を無麻酔非拘束(in vivo)状態でwhole body plethysmographyにより解析を行った。室内気吸入下でGAD67+/+は規則正しい呼吸を示したのに対し、GAD67-/-は大きなgasp様呼吸とそれに続く不規則で浅い異常呼吸を示し、無呼吸も頻繁に出現した。次に、末梢の影響を除外した単離脳幹脊髄(in vitro)標本を作製し、C4前根からの呼吸性神経活動を解析した。この条件においても、GAD67-/-の呼吸性リズムは不規則であり、吸息時間の短い呼吸パターンを示していた。さらに、ホールセルパッチ法を用いて延髄腹外側部の呼吸性ニューロンの活動を記録した結果、GAD67+/+では吸息時に大きな脱分極を示す吸息性ニューロンも、GAD67-/-においては脱分極持続時間が短く発生する活動電位の数も少なかった。以上の結果より、GAD67-/-は気道の形態異常だけでなく中枢性の呼吸調節機構においても機能異常をもつことが確認された。胎児期における中枢神経内のGABA欠乏は呼吸神経回路網機能の発達障害(未熟性)を惹起すると考えられた。
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