GnRHニューロンを遺伝子工学的にクラゲ由来の緑色蛍光タンパク(EGFP)で標識したトランスジェニックラットを作成し、そのニューロンの初代培養系を確立し、生理学的解析をすすめている。生後1-3日のラットから氷温麻酔下に断頭し脳を摘出して、内側中隔、OVLT、内側視索前野を切り出し、酵素処理で分散し、培養した。実験は培養1-3日のものを用いた。EGFP蛍光を発するニューロンを選び、穿孔パッチクランプ法でイオン電流の解析を行った。その結果、膜電位依存性のカリウム、ナトリウムおよびカルシウム電流の発現が認められた。現在、カルシウム電流について詳細な解析を行っている。低電位活性型(T型)の電流はほとんど見られなかったが、高電位活性型の電流は認められた。このカルシウム電流はニモジピン、コノトキシン、SNX-482により各々抑制された。アガトキシンは無効であった。以上から新生仔のGnRHニューロンはL-型、N-型およびR-型のカルシウムチャネルを発現していることが明かとなった。なお、雌雄による差は認められなかった。これらのカルシウムチャネルの発現が発達段階でどのように変化するのか。またステロイドやその他の生理活性物質がカルシウムチャネルに作用するのか否か。するとすれば、どのような作用か、そのメカニズムはなにかを、今後あきらかにしなければならない。
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