研究概要 |
PC12h細胞は、プロテアソーム阻害剤ラクタシスチンにより神経様細胞に分化した後、アポトーシスを起こす。その際、MAPK : mitogen-activated protein kinaseの一つ、JNK : c-Jun N-terminal kinaseとp38の活性が高まることが以前の研究で分かった(Masaki et al.,2000)。アポトーシスへのJNKやp38の関与は以前から報告されているが、アポトーシス誘導刺激後、新たに合成されたJNKやp38がどの程度アポトーシスに関与するかは不明な点が多い。 そこで本研究では、JNK及びp38に対するホスホロチオエート化アンチセンスオリゴヌクレオチド(以後ASODNと略す)を用いて両MAPK合成を阻害したのちラクタシスチンを添加し、その際のアポトーシス細胞出現率を調べた。その結果、JNKのASODN添加により、ラクタシスチン誘導性アポトーシスは有意に抑えられた。しか対照群のレベルにまではアポトーシスは抑えられなかった。またp38のASODN添加、によっても、ラクタシスチン誘導性アポトーシスはある程度抑えられた。そして、JNKとp38の両方に対するASODNを合わせて添加した場合には、ラクタシスチン誘導性アポトーシスは対照群レベルにまで抑えられた。以上のことから、JNKおよびp38がラクタシスチン誘導性アポトーシスに直接関与する事が示された。
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