研究課題/領域番号 |
13680884
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
金子 律子 (大谷 律子) 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教授 (00161183)
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研究分担者 |
宮下 知之 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経研・分子神経生理学部門, 研究員 (70270668)
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キーワード | MAPキナーゼ / JNK / ERK / 視床下部 / エストラジオール / 共焦点レーザー顕微鏡 |
研究概要 |
昨年度は、PC12細胞を用いてアポトーシスに及ぼすMAPキナーゼの影響について、MAPキナーゼのうちc-Jun-N-terminal kinase (JMK)に主に焦点をあてて解析した。本年度は、胎生16日齢のラット視床下部を用いて、MAPキナーゼの神経系発生過程への影響について検討した。 ラット視床下部は、臨界期(胎生16日ごろから出生後約5日の期間)に性ステロイドホルモン(エストロゲン)の影響により、雌雄差が発生する脳部位の1つとして知られている。そこで、胎生16日より摘出した視床下部細胞を解離後、臨界期に相当する期間、性ホルモン添加・および非添加条件で培養し、神経細胞・グリア細胞の発達を解析した。そして、これらの発達に対するMAPキナーゼの関与について検討した。 (結果)エストラジオール17βは、視床下部ニューロンの突起伸長(MAP2免疫陽性領域として計測)およびシナプス形成(synapsinI免疫陽性領域として計測)を増加させた。このとき、ホルモン添加群と非添加群とで、JMK、p38の活性に差は認められなかったことから、JNKやp38はホルモンによる視床下部ニューロンの発達変化に関与しないと考えられた。一方、ERKの活性はエストラジオール17βにより増加した。そこで、ERKの活性をU0126を用いて抑えたところ、synapsinI陽性領域は、ホルモン添加群・非添加群とも著しく抑えられた。このことから、視床下部ニューロンのシナプス形成にERKが関与すること、およびホルモンの影響がERKにより仲介されていることが考えられた。
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