研究課題/領域番号 |
13680887
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研究機関 | (財)東京都高齢者研究・福祉振興財団 |
研究代表者 |
青崎 敏彦 財団法人東京都高齢者研究, 福祉振興財団・東京都老人総合研究所・神経回路動態研究グループ, グループリーダー (70221033)
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研究分担者 |
鈴木 健雄 財団法人東京都高齢者研究, 福祉振興財団・東京都老人総合研究所・神経回路動態研究グループ, 研究員 (50306940)
三浦 正巳 財団法人東京都高齢者研究, 福祉振興財団・東京都老人総合研究所・神経回路動態研究グループ, 研究員 (40291091)
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キーワード | 大脳基底核 / 線条体 / 神経回路 / 抑制性ニューロン / 大脳皮質 / ドーパミン / コリナージック / 長期増強 |
研究概要 |
線条体を構成する代表的なニューロンには4つの種類が知られている。齧歯類で数が最も多く、全体の95%を占めるのが、淡蒼球に情報を投射するMS細胞(medium spiny neuron)である。他の3種類の細胞は線条体の中で終始するインターニューロンである。これには二つの抑制性のGABAインターニューロンとアセチルコリンを放出するコリン作動性ニューロンがある。マウス線条体スライス標本を用いて、線条体を構成する4種類の神経細胞の生理的な結合関係を調べたところ、投射ニューロンであるMS細胞と抑制生のGABAインターニューロンであるFS細胞(fast-spiking neuron)との結合が非常に目立っていることが分かった。この二つのニューロンの作る結合は線条体における機能モジュールとして働くこと、コリン作動性ニューロンともう一つのGABAインターニューロンであるLTS細胞(low threshold spiking neuron)はその機能モジュールをつなぐ働きを持つことを見出した。さらに、我々はMS細胞とFS細胞の形成する機能モジュールの生理学的性質について調べ、FS細胞からの抑制性入力は投射ニューロンであるMS細胞の発火のタイミングとS/N比を向上させるように働くことを明らかにした。これによって、機能モジュールの出力はよりタイミング良く、クリアになることがわかった。さらに、FS細胞自身はドーパミン依存性の長期増強を示して記憶する性質を持つことを見出し、これによって、ある機能モジュールがより機能的に選ばれる可能性があることを見出した。したがって、逆にパーキンソン病においてドーパミンニューロンが枯渇すると、このFS細胞におけるシナプス可塑性は生じない。つまり、機能モジュールの役割が不明瞭になり、明確な行動指令が下に降りなくなることが明らかとなった。
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