研究概要 |
1、臨床において行われている膝前十字靭帯(ACL)再建手技のうち骨付き膝蓋腱(BTB)をinterference screwで固定する術式(1群)と屈筋腱をEndobuttonで固定する術式(2群)で再建した大腿骨-移植材料-脛骨(FGT)複合体について、繰り返し引張負荷を与えたときに発生する大腿骨-移植腱-脛骨複合体の塑性変化に与える初期張力の効果を明らかにすることを目的とした。 2、ブタの膝関節(N=30)を代用材料とするACL再建モデルを用い、上記再建術を施行した。 3、作成した大腿骨-再建代用材料-脛骨複合体を閉ループ式引張試験機に接続された角度調節機能付き骨把持器に装着し、移植腱初期張力として各5複合体に20N,80N,140Nのいずれかの引張荷重を2分間加えた後,0.21Hzで2mmの繰り返し伸びを5000回加えた。繰り返し負荷試験中の張力と変位を記録し、張力-変位曲線を求め、各サイクルにおけるピーク張力を算出した。繰り返し負荷後,大腿骨-再建代用材料-脛骨複合体の破断試験を行ない、最大破断荷重と線形剛性値を求めた。 4、繰り返し負荷試験:各群ともピーク張力は初期100回以内の急速に低下し、その後は緩徐に低下した。5000回負荷時のピーク張力は各群ともに初期張力増加に伴い有意に増加した。5000回負荷時のピーク張力はいずれの初期張力においても、1群は2群に比較し有意に高値を示した。 5、破断試験:1群の繰り返し負荷後の破断荷重および線形剛性は2群のそれに比し有意に高値を示したが、いずれの群においても初期張力値はこれらパラメーターに有意の効果を与えなかった。 6、20Nから140Nまでの初期張力の増加は,5000回の伸張負荷後におけるFGT複合体の破断特性および破断様式に有意の効果を与えないことを明らかにした。
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