研究概要 |
1.CCDと超短光パルスを用いた実験システムの開発 ・高感度・広ダイナミックレンジな冷却型CCDカメラと本年度購入した超短光パルスを用いて,超音波周波数で変調されたスペックルパターンを検出するシステムを開発した.一般にCCDセンサは周波数特性が低く,超音波周波数での変調を検出することはできないが,本手法では超音波の位相に同期して半値幅0.2nsの超短光パルスを発光させ,発光位相を変えて取得した2枚の画像の差分画像の全画素の輝度積算値を求めることにより,高速変調光の検出を可能とした. 2.スペックルパターンからの変調成分検出実験 ・厚さ35mmの散乱体の散乱係数を変化させて超音波変調光の強度を測定し,検出限界を測定した.その結果,我々の従来の検出限界(変調光を一点で検出:散乱係数0.20mm^<-1>))が,本手法では散乱係数0.25mm^<-1>に向上した.また,散乱係数の増加に対する変調光のS/Nの低下は従来法の100dB(0.1mm^<-1>,厚さ35mm)に比べ7dB(同条件)と非常に小さく,本手法の有用性が確認された. ・散乱体(0.2mm^<-1>,厚さ35mm)中にヒト乳ガンと同じ光学特性を持つ吸収体(10mm)を埋め込み,これを可視化する実験(1次元イメージング)を行い,本手法により散乱対中の吸収体を高い空間分解能で検出できることを実証した. ・透過光の強度は,散乱体厚の増加に伴い急激に減衰するため,反射光も利用できれば本手法の有用性は高い.そこで,光の入射側に発生するスペックルパターンの本利用可能について検討した.その結果,表面からの深さ7mmの部分に埋め込んだ前記吸収体を高い空間分解能で検出できることが示された.
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