研究概要 |
昨年度は,本研究で提案する超音波変調型光イメージング法に関する実験的検討を行い,手法の基本的可能性と反射光を用いた計測の可能性を示した.本年度は,実用性の向上を目指して以下の検討を行った. 1.信号処理法に関する検討 本手法の要点の1つは,超音波の位相を反転させて取得した2枚のスペックル像の差分をとることにより強大な無変調光を打ち消し,変調成分のみを抽出する点にある.しかしこれまでは,1)レーザ光源の強度のドリフトと2)コヒーレンシの低下などの原因により無変調成分を完全に打ち消すことができておらず,さらなるS/N向上の可能性があった.1)については,本年度新たに考案した光強度のアンバランスを補正する処理によりS/Nが改善し,差分画像上で変調光分布の視認が可能となった.しかし,コヒーレンシの低下については有効な補正法が確立できておらず,今後さらに検討が必要である. 2.実用的システムの開発 本手法では数MHzの超音波で変調されたスペックルパターンを一般のCCDで検出するためにストロボスコープの原理を用いており,これまでの実験システムでは光源としてパルス幅0.2ns,光出力600mWのレーザダイオードを用いていた.しかし,パルス幅が必要以上に狭いために平均光強度が低く,1次元分布の計測に10数時間を要していた.そこで,本年度はパルス幅50ns,光出力20Wの高出力レーザダイオードを用いて計測時間の短縮を図った.平均光強度が数1000倍になったことから計測時間が大幅に短縮され,S/Nの劣化も無いことを確認した.また,光量に余裕があるため,CCDの光学系の絞り値を大きく設定することが可能となり,スペックルパターンのコントラストが向上することを確認した.
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