研究概要 |
光が超音波によって変調される現象を利用し,超音波の分解能で生体内の構造や代謝情報を可視化する超音波変調型光イメージングの実現を目指して,スペックルパターンの強度変化に着目した手法を提案した.また手法の実現を目指して実験的検討を行い,以下に述べる結論を得た. ・手法の提案と実験システムの開発 ストロボスコープの原理により,超音波の周波数で変調されたスペックルパターンを一般的なCCDカメラを用いて検出する手法を提案し.これを実現する観察システムを開発した.本手法では,超音波の照射条件を変えて2枚のスペックル画像を取得し,その差分をとることにより無変調光成分を打ち消して,微弱変調光の高感度な検出を実現する. ・透過光イメージング ファントムを透過して出射側に発生したスペックルパターンを用いる透過光イメージングの可能性について検討した.散乱体中心にヒト乳ガンと同じ光学特性を持つ吸収体を埋め込み,これを透過光により可視化する実験(1次元イメージング)を行なった.その結果,散乱体中の吸収体の位置を従来法よりも高い空間分解能で検出できることが確認された. ・反射光イメージング 透過光の強度は,散乱体の厚さの増加に伴い急激に減衰するため,光源とCCDを対向させる必要がある透過光イメージングのみでは本法の適用可能部位は乳房や頬などに限定されてしまうが,反射光も利用できればほとんどの表在臓器が適用の対象となる.そこで,光の入射側に発生するスペックルパターンからの変調光検出の可能性について検討し,透過光イメージングと同様に高い空間分解能で吸収体の位置を検出できたことを確認した. ・実用化に向けた検討 上記実験システムでは光源の平均光強度が低く,1次元イメージングに10数時間を要していたので,新たに高出力レーザダイオードを用いて実験システムを改善し,計測時間が大幅に短縮され,S/Nの劣化も無いことを確認した.
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