1.ブタ尿路上皮及び間質細胞の初代培養 予備実験の結果を元に、上皮及び間質細胞の酵素処理条件について更に検討した。その結果、上皮細胞については、0.1%EDTA/PBSで処理後、dispase 2.4U/mlで30分更に0.05%trypsinで3分間処理する条件で、間質細胞については、0.5mg/ml collagenaseで30分間処理することで、細胞収量、生存率においてほぼ満足する結果が得られることが判明した。 2.循環培養装置によるコラーゲンゲルを用いた尿管モデル まず、コラーゲンゲルを成型するためのガラス管によるmoldをいくつか試作した。その後、コラーゲンゲル濃度及び包埋する間質細胞の濃度について、いくつかの検討をした。コラーゲン濃度においては、最終濃度1%から3.5%まで、間質細胞は5x10^4個/mlから1.5x10^5個/mlまで検討したが、間質細胞のviabilityにおいては明らかな差を認めなかった。しかし、低濃度のコラーゲンゲルは脆弱で取り扱いが難しく現実的でなかった。今後は、上皮の増殖、分化における影響の観点から、さらに条件を検討する予定である。また、循環培養を行う際、尿管モデルを循環回路に取り付けるための装置を試作した。 3.人工尿管モデル移植実験 上記のように作成した人工尿管モデルによる移植実験を行う前に、尿管組織より細胞成分を取り除きマトリックスのみからなる組織ureteral acellular matrix graft(UAMG)を用いた移植実験を行うべく、ブタ尿管からUAMGの作成する条件を検討した。現時点では、まだ完全に細胞成分を除去する酵素処理の条件が確定できず、今後も引き続き検討する予定である。
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